2011年10月21日金曜日

【アニメ】ギルティクラウン_#1_発生-genesis-

【ギルティクラウン概要】
  ウィルスの大流行により崩壊した日本はGHQの独自政権に支配される。
  主人公の「集」は自身の身の振り方に疑いを持つ。「変わりたい」……と。
  平凡な日常を過ごしていた「集」は一人の女の子に出会い、冒険物語へと巻き込まれる。
集、お願い。私を――使って!
『これは力、人の心を紡いで形を成す、罪の王冠』
  友達を武器に戦う、近未来ファンタジーアクション物語―ギルティクラウン―


【キーパーソン】
桜満 集(さくましゅう)
  ∟主人公、高校二年生(CV:梶裕貴_ブログ)
楪 いのり(ゆずりはいのり)
  ∟ヒロイン、webアーティストボーカル(CV:茅野愛衣)

【第一話シーン毎の演出】
・逃走 ~回想・導入~
少女は保護ケースに入った試験管を盗みだし、遠隔操作された機械に追われる。
  遠隔操作されたロボット、自身を透明にするマントなど科学の発達した未来的な世界観。
  生死を問わぬレベルで追われる少女はいったい何を盗み出したのか、いくつかの謎を残し興味を引く導入。

・教室 「内心焦りながら話を合わせて、友達風のものを増やして生きてきた」
  平凡な生活風景。主人公と思われる男の子(集)と幼なじみのような女の子。
  クラスメイトや幼なじみとの会話から主人公の「集」は素の自分を偽り、改善された自分を演じようとしている。しかし「全然できていない」と彼女に指摘される。
  自分の在り方にわだかまりを覚える様子が表現されている。

・昼休み
「君たちには任せておけない、君たちには大切な人を守る能力が無い。多くの事実がそう伝えてくる」「僕にももっとやれること、ないのだろうか」
  朝の教室から一人で過ごす昼休みまで、「変わりたい」と思う気持ちに常に追われている「集」。でも何をしたら……と今の自分に満足ならぬ心持ちが際立つ。

逃走者の血痕に試薬を垂らしそれをモニター。バンクのデータから誰の血であるか明らかに。
  ここからも未来的なテクノロジーを感じる。追っ手が一歩一歩確実に近づく。

・廃工場 ~いのりとの出会い~
昼食を取ろうと入った廃工場へ、地面に垂れた血痕に気づくことはない。そこで「集」の注目しているwebアーティストのボーカル少女(半裸)に会う。
  まず自立型の小型ロボの性能に驚かされる。不審者と認識された「集」はロボに軽い洗礼を受ける。ここでも進んだ科学の持つ未来的な様子が演出される。
  廃棄されたディスプレイに「集のふるさとの景色」なる動画が映し出されるが物語との関連性は謎。動画はウィルスで犯される前の町並みなのだろうか、豊かな自然の中で小鳥が自由に空を飛んでいる。

集:「エゴイストのボーカルのいのりさんだよね?」「なんでここに?」「どうしてそんな怪我を?」
いのり:「この子をガイに届けるの」「(あやとりを)取って」「やればできるかもしれない、でもやらないとできないかもしれない」「桜満集は臆病な人?」
  第一声から「いのり」の言動の根底にある心は「使命」だと読み取れる。歌を唄いつつ、「集」とあやとりで遊びたい彼女は精神年齢が低いのかマイペースであるのか、「集」との調和が会話から殆ど読み取れない。不思議少女の印象。

・襲撃 ユウネ?

「いのり」との唯一の交流であったあやとりを「集」が編み取る寸前、襲撃に合う。
  血痕を追われ居場所が割れた「いのり」。彼女は立地的にも身体的にも不可能と思われる逃走を図る。派手な抵抗をない「いのり」の様子から、「集」を余計なトラブルに引き込みたくない彼女の内面を伺う見方もできる。去り際に「集」へ残された謎の言葉「ゆうね」とは。

「葬儀社」「テロリスト」「犯罪者」
この3つの言葉と彼女は関連がある事が警察?によって演出される。
 「そうぎしゃ」の言葉はここまでの流れから連想しにくい言葉であり正直な所、関係性を連想認識しずらい。公式HPを見て事前に情報を集めていなかった筆者には、悪い言い方をすると若干置いて行かれた感が残った。良い言い方をすると葬儀社が一体何であるか疑問を持てた。その謎は第二話で明らかになる。

・集、思う。「こんな俺でいいのか」

この言葉をCM入り前と後の合計二回耳にすることになる。
「集」の目の前で「いのり」が連行される。
「集」は自分の無力さ、格の違いに泣き寝入りに近い思いをはせる。「いのり」に近づきたかった「集」は「ロボ」が地図に示した場所へ彼女の遺志をくみ、半壊したロボを届けることに。

・怪しげな会議室 ~ボイドゲノム、危険性~
盗まれたボイドゲノムの危険性について、彼ら怪しげな組織によって六本木が攻撃対象にされる様子が描かれる。
  悪の組織として「GHQ」の一面が描かれています。
  総督にすらその全貌を報告できない秘匿性を持つボイドゲノム――。
  六本木がどんな場所で、そこが攻撃されるとどんな事が起こるのか。視聴者は謎をかかえるが、数分後に謎は解決する。

・拷問
「いのり」は盗んだボイドゲノムの隠し場所を拷問される。
  略取された「いのり」は「(彼女らアンチ政府組織のメンバーが住む)街(六本木)を浄化処分(破壊)するぞ」と脅されるも沈黙を保つ。
  彼女が持つ使命への忠誠心が演出される。結果、六本木は浄化処分される事が決まる。ここまで粘着されるボイドゲノムとは一体何であるのか、更に深まる謎は第二話で語られます。

・六本木 ~ロボを届ける「集」~
「それ飯炊けるの?」「集」は抱えていたロボを炊飯器と間違えられ恐喝に合う。ロボを必死に守る「集」、そこへ表れる「ガイ」。
  まず、炊飯器の下りは公式HP(リンク)の4コマでネタにされているので要チェック!! 
  「集」が体を張ってまで守りたい小型ロボ。拉致される「いのり」を前に見過ごす事しか出来なかった彼女との別れが行動を引き起こさせている。「ガイ」と呼ばれる男と彼をリーダーとする集団の力が一部描かれる。

「それヒュウネルでしょ! 返してっ!」(CV:竹達彩菜)
  猫耳っぽい髪型の女の子に、炊飯器小型ロボは回収される。
  男ばかりが連続して登場していた。そこへこのカットが挿入されている。寒色系の女の子だがそこにかわいらしさを感じる。暗く落ち込む様な展開にアクセントとして華を添えるカット。

・GHQに襲撃される六本木
  ここで、六本木とは、彼ら(ガイやいのり)の住む街(ロボを届けた先)であるとわかる。「集」の住む豊かな街とは違い、荒れ果て廃れた街、それが六本木。
猫耳少女の情報処理能力の一部がアピールされる、二話では彼女の更なる実力が明らかに。

・与えられる使命
「(いのりを)見捨てたのか?」とガイに言われ、返す言葉の無い「集」。彼らの本拠地も襲撃の的となり困惑が浮き出る者も。「集」は「今度こそ守ってみせろ」とガイから使命を与えられる。

  使命感たっぷりの「集」の行動に違和感を覚える視聴者の声を聞いた。知り合ったばかりの「ガイ」の言葉を真に受けすぎるんじゃないかと。そこで「集」の行動理由をまとめてみました。

1.「集」は廃工場で自分に力が無いゆえに「いのり」を守りたくも守れなかった。
2.憧れていた彼女に近づきたかったのに……手(あやとり)を取る事もできなかった自分を悔やむ。
3.元より今までの自分の在り方に不満を抱えて居た。
以上の三点(2は1に従属するものであるが)を背景に考えると、「集」の持つやや過剰気味な使命感を持った行動に納得できる。

・覚醒
自分に何が出来るのかもわからず、ひたすらに走る「集」は通りで偶然「いのり」を見つけ助けに入る。銃弾を受け割れるボルトゲノム、目覚める力。
いのり:「しゅう、お願い。私を、使って」
『これは力、人の心を紡いで形を成す、罪の王冠』

  ここでタイトルであるギルティクラウンの意味が明らかに。目覚めた力を使って悪い奴らをやっつける話なんだろうなと話の大筋が確立する。


【感想】
  「うさぎドロップ」「No.6」を夏に放送していたノイタミナ枠の秋アニメ、「ギルティクラウン」。
  「今までの自分から変わりたい」主人公の根底にある「進化する心」はノイタミナ作品としてギルティクラウンにも受け継がれていると感じました。

  主人公演じる梶さんの声は、夏アニメ「ロウきゅーぶ!」のロリコンイメージを強く持っており挙動一つ一つを深読みしていましたが、気づいたら自然となじんでいました。

  キャストを見たとき「ま~た花澤(香菜)か!」と思いましたが、今までの花澤さんの演じることが多かった「ほのぼの」「不思議少女」「引っ込み思案」のイメージとは違った花澤ボイスを聞く事が出来てもっと出番が来ないかなと思いました。
  暗く沈んだ世界で暗躍する組織「葬儀社」ですが、オペレーターを担当する篠宮綾瀬役の竹達彩菜さんの声がアクセントになり血生苦しい戦闘シーンにも華やかさがプラスされています。
メインヒロイン演じる茅野愛衣さんも、「あの花」でめんま役を演じて以降注目が高まっています。

  ヒロインのコスチュームデザインなど、おっぱいにただならぬ拘りを持つ荒木哲郎監督(メガミマガジン2010/10号より)を中心に作り出す近未来を舞台にしたオリジナルアニメ、色んな意味で目が離せません!

  OPはsupercellさんプロデュースのこえださん。いのりの歌う挿入歌、EDはChellyさんが歌っているそうです。こえださんは15歳、Chellyさんは17歳とどちらも若くして実力を日本中へ発信。spercellさんの発掘力はガゼル(nagi)さんの歌声をメディア露出へと繋げた事に加え、初音ミクを始めとするアニメ関連の曲では特に高く評価されていると思います。

  キャラクターデザインはredjuiceさん(本人ブログ*音が出ます)。恥ずかしながらお名前は存じていなかったのですがブログにあった画像一覧を見て、「初音ミクの動画で見たことがある!」となりました。きっと同じような位置にあるネットユーザーは多いかと思います。
  設定画にある塗り(線)はアニメの持つ構造上生かしにくいというのが定説でありますが、本作品ではその良さがちりばめられています。第二話より放送されるOPはもちろん、導入にある橋の上でのシーンで爆発した炎といのりに落ちる陰影、衣服の朱からオレンジへのグラデーション。それと廃工場で机にぶつかった時のいのりの髪の塗りは特にredjuiceさんの面影を感じる丁寧な作りであると思います。スクリーンショットを載せて良いものかわからないので、今は紹介できないのが残念です。公式ページの画像みたいに作風を強く感じる塗りがBDで見られる時代が来たら嬉しいですね。

【広報(番組宣伝)演出】
  世界観の説明だけで無く、これからの大まかな流れが視聴者に伝わると、「自分が楽しめそうかな」と視聴を続けるや否やの判断材料になります。番組宣伝などで言われていた「友達を武器に~」の下りにも第一話終盤では整合性が生まれ、抱えていた謎が解かれました。すっきりした気分になりますね。敵をぶった切る爽快感と相乗してより楽しい気持ちが生まれました。
  番組宣伝で謎が提示され、それが第一話の閉めで明らかになる流れ。おそらくこれは制作や広報さんが意図されたものでしょう。第一話を最後まで見た人がうれしくなれる非常に良い宣伝だったと思います。

【忙しい人のための第一話ストーリーまとめ】
  変わりたい、自分の今の在り方に不満を覚えながらもどうする事もできない主人公の「集」
  昼食を取ろうと訪れた廃工場で怪我をした女の子に会う。それは憧れの存在であったwebアーティストが一人、ボーカルの「いのり」だった。
「彼女とお近づきになりたい」
  その思いは突如表れた警察のような機関によって阻まれる。葬儀社と呼ばれるテロリストの一員である事が明かされ連行される「いのり」。せっかく出会えたのに…何もできない、こんな悔しがる必要は無い、時間がまた心を癒してくれる。そんな思いをはせる「集」に彼女の連れていた小型ロボから地図と行き先が提示される。彼女の遺志をくむため、「集」は立ち上がる。

収容され拷問されている「いのり」は先日、盗み出していた。ボイドゲノムと呼ばれるものを。それを取り返すべく公的組織は動いていたのだった。圧倒的な権力を前にしても「いのり」はその在処を吐かない、その結果浄化処分との名目で彼女たちのすみかである六本木は火の海に。

  本拠地に無事、小型ロボを届けた「集」。「いのり」の所属する組織のリーダーである「ガイ」にこう言われる。「(いのりを)見捨てたのか?」
  どうにかできるならどうにかしたかった。そんな後悔してもしきれない思い。本拠地も襲撃の的になり交戦。「今度こそ守ってみせろ」の言葉に「集」は走り出す。
  遠隔操作された機械に襲われている「いのり」を「集」が救う寸前、彼が胸に入れていたボイドゲノムに銃弾が当たり、内容物が飛び散る。覚醒。

「集、お願い。私を――使って」
「いのり」の胸元から、剣を引き抜く
『これは力、人の心を紡いで形を成す、罪の王冠』

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